2027年シーズンから、ついにセ・リーグが指名打者(DH)制を導入することが決定した。1975年にパ・リーグが先行して採用して以来、セ・リーグは“9人野球”という伝統を守り続けてきたが、育成環境の変化、国際ルールとの整合性、そして選手の可能性を最大限に引き出すという観点から、大きな方針転換を迎えることになった。
この記事では、セ・リーグがDH制を導入した経緯と、野球がどう変わっていくかについて紹介します。
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セリーグがDHを導入しない理由と反対している球団は広島って本当? | BASEBALL BUZZ
セ・リーグがDH制度を導入する経緯
セ・リーグがDH制度を導入するに至るためには、大きく二つの要因があります。
要因①:アマチュア野球の動向
この数年で、高校・大学野球を含め、国内のアマチュア野球界は急速にDH制へと舵を切った。2025年春には日本高校野球連盟(高野連)がセンバツからDH制を導入することを決定し、これにより、大学野球全27リーグでも順次採用が進むこととなった。
セ・リーグの首脳陣も危機感を抱いた。広島の鈴木清明本部長は、「高校野球まで採用するというのは、私にとって非常に大きなインパクトだった」と語る。かつては、「大谷翔平のような“エースで4番”の芽が潰れるのでは」として慎重姿勢を貫いていた。
要因②:国際大会の動向
加えて、WBCやプレミア12といった国際大会では、すでにDH制が標準ルールとなっており、プロ野球の「世界基準」との乖離も課題視されていた。NPBの榊原定征コミッショナーは「セ・パでルールが違うのはノーマルではない」と明言した。
大きく変わる選手の起用方法
起用変更①:守備に不安のある選手の活躍
DH制の導入は、従来、守備に課題がある選手は出場機会を得づらく、特にセ・リーグではベンチで燻ることが多かった。しかし、DHという「打撃専任ポジション」の登場によって、打力に特化した若手の台頭が期待される。これまで、セリーグはファースト・レフトは外国人選手が守る場合が多かったが、DHを外国人選手に譲ることで、押し出し式で日本人選手の活躍の機会が増える。
これによって、各プロ野球のスカウト陣営は守備に不安があるアマチュア選手や外国人選手の獲得も視野に入るでしょう。
起用変更②:「大谷ルール」がもたらした可能性
セ・リーグではDH制導入と同時に、いわゆる「大谷ルール」の採用も視野に入れている。これは、先発投手がDHとしても起用され、降板後も打者として試合に残れるというもの。大谷翔平がメジャーで活躍する中で誕生したこの特例は、二刀流育成の象徴ともいえるルールだ。高校野球では、『エースが4番』を打つことを美学とする考え方がまだ寝ずいているが、このルールが採用されたら『エースが4番』をまだまだ見ることができる
起用変更③:投手起用への変化
DH制により、投手は原則として打席に立たなくなる。これは投手にとっては、身体的・精神的な負担が大幅に軽減されることを意味する。中日の大野雄大投手は「5年遅いと思う。打席に立つと労力を使うので、投げるイニングは間違いなく増える」と語っている。一方で、セ・リーグらしい「投手が打席に立つ駆け引き」「バントや代打を使った采配」の醍醐味が薄れることは、事実です。
よくある質問
- Qセ・リーグのDH導入はいつからですか?
- A
2027年から導入されることが、正式に決まりました。
- QDH制度導入のメリットはなんですか
- A
DH制(指名打者制)を導入することことのメリットは以下の4つだと言われています。
- チームの得点能力が向上する
- 先発投手の完投能力が向上する
- 野手の活躍の機会が増える
- 守備が苦手でも試合に出れる
- Q投手以外にもDH制度を利用することはできますか?
- A
現時点では、投手以外のDH起用は認められておりません。
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