なぜ送りバントが消えないのか?
BASEBALL BUZZ運営者のくま(@Xアカウント)です。
送りバントについてですが、さまざまなところで非効率的な作戦だという主張がされていますそれでも送りバントはプロ野球から消える気配はありません。
今日は
「なぜ送りバントは消えないのか」
について統計学的に考えていきます。
- 元バンテリンドームスタッフ
- 統計学/セイバーメトリクス専攻
- 野球ファン歴15年以上
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どうして送りバントは非効率なの?
得点確率と期待得点の双方を下げる
得点確率:点が入る可能性の高さ
期待得点:どれだけ点が入るか
⇒点が入る可能性が下がる×点の入る量も減る
点が入る可能性まで減るのは意外ですね!?
少し具体的に説明します。
画像はこちらから
ノーアウト1塁から送りバントして1アウト2塁のケースについて考えてみる。
得点確率:40%
期待得点:0.81点
得点確率:39%
期待得点:0.68点
双方の数字が下がることがわかっています。得点確率も減るし、期待される得点も減るから非効率的であると言われています。これに加えて、必ずしもバントが成功するわけではないと観点から、意味の得点効率的には無意味なことだとわかっています。
ではもっと具体的な場面ではどうでしょう?
ノーアウト1塁で送りバント
ここではノーアウト1塁での送りバントを作戦別で考えてみます。あるシーズンの無死一塁のケースは3994回
「ヒッティング」
「盗塁」
「ヒットエンドラン」
「バント企画後のヒッティング」
と5つの作戦別に分けてその効果を分析したものが上記の表である。送りバントをした場合の生還率は37.6%で、ヒッティングについて低い値であった。得点期待値については最も低かった。
ヒットエンドランがすべての数字で有利であり、バントをさせることは有利とはいえないが、走者生還率は最も高かった。
走者を送る可能性は最も高いが、得点の期待値は低いみたいです。
2番バッターの送りバントについて
2番打者が無死一塁で打席に立ったのは942回
得点期待値はバントをした場合が0.80点なのに対し、ヒッティングは1.10点と大きな差が生まれた。
走者生還率もヒッティングの方が、高い数字となっている。
2番バッターは小技のイメージがありますが、ヒッティングの方が成績は良いです。
それでも送りバントをする理由
最悪のシナリオ(ゲッツー)を回避したい
ゲッツーというのは得点確率・期待得点をともに極端に下げます。
ノーアウト1塁からゲッツーで2アウトランナーなしになったケースを考える
得点確率:40%
期待得点:0.81点
得点確率:6%
期待得点:0.09点
ゲッツーでチャンスがつぶれるとイライラします。
相手守備陣にバントがあると思わせることが必要
相手がバントを意識した守備体制を敷けば、前で守っている分、速い打球が野手の間を抜ける確率が高くなる
不利なデータが並んでいるからといって、戦術からバントを外す極端な発想を持つ必要はありません。
投手の送りバントについてあり
打率が1割3厘より低い選手は送りバントが有効
です。送りバントの損益分岐点を計算していて、規定打席に到達した野手の中で今までこの数字を下回った選手はいません。
バッティンが苦手な投手は送りバントをした方がいいかも
野手が送りバントをした方がいいケース
しかし、期待値的には送りバントをした方がいいケースも存在する
・ノーアウトランナー2塁3塁
・同点でサヨナラのチャンス
・送りバントが100%成功する
サヨナラのチャンスのみ送りバントは有効です。
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