阿部⇔涌井秀章のトレードに衝撃を受けました。
その時に、残りキャリア予測WARという文字を見た人もいるでしょう。
今日は、残りキャリア予測WAR『“D-CAST”』について解説します。
阿部⇔涌井秀章の交換トレード
- 阿部(32) 年俸3600万円 WAR2.6 FA3年後
残りキャリア予測WAR 1.2 - 涌井(36) 年俸1.1億円 WAR0.9 FA持ち
残りキャリア予測WAR 3.1
ドラゴンズが損をしているといわれているトレードですが、実は残りキャリア予測WARは涌井選手の方が高いです。
残りキャリア予測WAR『“D-CAST”』について語るよ!
成績予測システムD-CASTによる残りキャリアでのWAR予測では、意外にも年長の涌井が上回っています。
“D-CAST”とは?
- MLBでは、ある選手がどれほどの成績を残すか、未来を機械的に予測するシステム「プロジェクション・システム」がある。
- MLBで活用される機械的な成績予測をNPBに対応させたDELTA独自のシステム
- 過去の研究によりわかった傾向から、選手成績を機械的に予測している
- 選手の将来性や市場価値を定量化することが可能
- 現在導入されている対象リーグは以下の通り
- セントラルリーグ、パシフィックリーグ、イースタンリーグ、ウエスタンリーグ(NPB)
- アメリカンリーグ、ナショナルリーグ、マイナー3A級、マイナー2A級(MLB、MiLB)
- 韓国プロ野球、メキシカンリーグ(その他海外)
- アメリカンアソシエーション、アトランティック(米独立)
- ドミニカ、ベネズエラ、プエルトリコ、メキシコ(冬季)
“D-CAST”の計算方法
かなりわかりにくいので、興味ない人は↓に読み飛ばしても!
信用度の計算
- 年度が古い場合は1年ごとに信用度を1つ下げる
- 予想対象リーグと異なる階層のリーグでの成績であれば信用度を1つ下げる※1
- 予想対象リーグと異なる機構のリーグでの成績であれば信用度を1つ下げる※2
※1セントラル/パシフィックのように両立するリーグは同じ階層とする
※2セントラル/パシフィック/イースタン/ウエスタンのように系列となるリーグは同じ機構とする
MLBから日本に着た選手の成績の予想は難しいってことですね。
年齢補正をする
予想対象年度と成績が記録された当時の年齢のギャップによる補正を行います。補正はエイジングカーブと呼ばれる年齢によるパフォーマンスの変化のデータをもとに行います。
年を取った選手には、残りキャリア予測WARは低く産出されます。
球場補正をする
パークファクターによる補正を行います。2022年時点でパークファクターはNPBは1,2軍ともに最新のデータを、MLBとMiLBは2019年までのデータを使用しています。
神宮球場の打者成績と、バンテリンドームの打者の成績は同道に扱わないということですね。
成績を混ぜる
初めに同じ信用度の成績があれば合算して1つにします。次に成績を信用度の高い順に並び替えた上で参照率を決めていきます。項目ごとに設定された定数と出場機会と順番に基づいて、どの成績を何%参照するか決まります。
かなり言っていることが難しいですね。
“D-CAST”って当たるの?
投手成績は当たるの?
『R2=0.50』以上で、相関関係がある目安になります。
『R2=0.31』は、かなり低いように思います。これは投手は怪我による離脱リスクが高いためですね。
野手成績は当たるの?
『R2=0.44』は、ある程度信用できる数値。野手成績はある程度信用してもいいのかもしれない。
あくまでに目的は成績を充てることではない
“D-CAST”の目的は、成績を充てることではなく、選手の成績を明確な尺度を持って評価することです。
こういった議論ができるだけで十分といえます。
「プロジェクション・システム」
株式会社DELTA(かぶしきがいしゃデルタ)が最近使用しているデータのため、まだまだサンプルが少ない。
日本版では少ないですが、海外の「プロジェクション・システム」に目を向けてみましょう。
2022年鈴木誠也
2022年の鈴木誠也の成績予想
- 打席545 打率.287 本塁打29 盗塁9 OPS.922
- 打席519 打率.252 本塁打19 盗塁8 OPS.777
- 打席583 打率.287 本塁打24 盗塁12 OPS.834
MLBには野球選手の予想会社が複数あります
2022年の鈴木誠也の確定成績
↓実際の成績はこちら
- 打席446 打率.262 本塁打14 盗塁9 OPS.770
怪我をしてしまったのもありますが、予想をやや下回る成績になりました。
2022年大谷翔平の成績
2022年の大谷翔平の打者予想成績
- 打席586 打率.261 本塁打38 盗塁21
- 打席567 打率.253 本塁打31 盗塁18
- 打席554 打率.257 本塁打39 盗塁24
- 打席507 打率.262 本塁打32 盗塁19
2022年の大谷翔平の打者確定成績
- 打席588 打率.273 本塁打34 盗塁11
打席数打率は上振れしていますが、予想とは大幅なずれは感じません。
“D-CAST”で予想された例
以下DELTAから引用あり
村上宗隆の通算成績
MLBの挑戦を表明している村上選手が、NPBに残り続けて場合の予想成績がこちらです
現時点では、王貞治選手に本塁打数で上回る村上選手は通算では劣るという予想成績ができているのは意外。これは王貞治選手が、年齢による下降傾向に反発できたことが大きいです。
阿部⇔涌井秀章の交換トレード
- 阿部(32) 年俸3600万円 WAR2.6 FA3年後
残りキャリア予測WAR 1.2 - 涌井(36) 年俸1.1億円 WAR0.9 FA持ち
残りキャリア予測WAR 3.1
涌井選手は今シーズン怪我でシーズンを棒に振ったので数字は低いです。
成績予測システムD-CASTによる残りキャリアでのWAR予測では、意外にも年長の涌井が上回っています。
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