エスコンフィールド北海道のバックネット裏についてわかりやすく
BASEBALL BUZZ運営者のくま(@Xアカウント)です。
2023シーズンから開業する日本ハムの新球場「エスコンフィールド北海道」について、グラウンドのサイズに問題があるとして議論されました。
- 元バンテリンドームスタッフ
- 統計学/セイバーメトリクス専攻
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エスコンフィールド北海道への指摘内容
「エスコンフィールド北海道」ではホームベースからバックネットまでの距離を50フィート(約15メートル)に設定。
公認野球規則では同距離は60フィート(約18メートル)が必要とされており、規則に違反している。
元々は、バックネットからホームベースまでの距離が近いことを売りにしていた球場です。
エスコンフィールドのバックネット裏はどうなるの?
2022年11月時点では”作り直し命令”だったが
- 12球団代表者会議で協議
- 野球規則2・01に従う仕様に変更する改修計画案
- 12球団の見解では本件は現行ルールに違反している事案の認識
- 2023年シーズンは現在のエスコンフィールドの建造のままでの公式試合での使用を認める
2023年3月時点で”野球振興基金設立で代替”
- 球団と日本野球機構(NPB)の間で、改修しない方向で調整が進んでいる
- 代わりに球団側が野球振興のための基金を設立する
- 今季終了後以降に規則に沿うよう改修する条件で、使用が認められていた
そもそもの野球規則について
- アメリカの野球規則委員会が定める『Official Baseball Rules』は、世界のその他の国の意見とかは聞くこともなく、アメリカの都合だけで改正される。
- 他の国がこれを採用するかどうかは調整しない
- 日本の野球界も、独自に野球のルールを定めることも可能。
- 『Official Baseball Rules』を翻訳して1年遅れで「公認野球規則」としてそのまま採用している。
公認野球規則が『Official Baseball Rules』と基本的には同一であるのは、たまたまそうなっているだけであって、本来は全く異なるルールを作っても一向にかまわないません。
公認野球規則が『Official Baseball Rules』と異なる例
2020年からOfficial Baseball Rulesはワンポイントリリーフ(投手を打者1人との対決で交代させる)を禁止しましたが、日本はこれを採用しませんでした
野球規則の”解釈”|”翻訳”の違い?
「It is recommended that the distance from home base to the backstop, and from the base lines to the nearest fence, stand or other obstruction on foul territory shall be 60 feet or more.」
翻訳すると↓です。
「本塁からバックストップまでの距離、塁線からファウルグラウンドにあるフェンス、スタンドまたはプレーの妨げになる施設までの距離は、60フィート(18・288m)以上にすべきと推奨する」です。問題は「It is recommended」の部分にある。日本ではこの箇所が「必要とする」になっているが、原文では「推奨される」とあり、必要条件ではない。
ホームベースとバックネットの距離は努力義務なのか義務規定なのか?
⇒国内でプレーする以上、ファイターズとしては公認野球規則を遵守しなければならない立場であり、義務規定です。
NPBの本拠地球場ではすべてこの数値が守られているところ、エスコンフィールドでは15メートルしかない、というものになります。
なぜこのようなことになったのか?
エスコンフィールドの設計を行ったのがメジャーリーグの球場の設計を経験したアメリカの設計事務所で、アメリカでは60フィートよりも本塁とバックストップとの距離を短くすることが多いから、ということが言われています。そうだとすると、本工事の施主であるファイターズ球団の不注意責任を問われることは避け得ないでしょう。
今後のファイターズの動き
- 2023年からの公認野球規則を改訂する
- 公認野球規則に従い、施工工事をする
ホームベースとバックネットの距離一覧
12球団(札幌ドームを含む)のホームベースまでの距離と比較してみます。
- 24.5m 札幌ドーム
- 23.8m 横浜スタジアム
- 19.6m 神宮
- 19.0m ZOZOマリン
- 18.4m ベルーナドーム
- 18.4m 甲子園
- 18.3m 楽天生命
- 18.3m 東京ドーム
- 18.3m バンテリン
- 18.3m 京セラ
- 18.3m ペイペイ
- 18.3m マツダ
- 18.288m 野球規則
- 15m エスコンフィールド北海道
野球規則を大幅に下回っていますね…!
ホームベースとバックネットの距離を近くした理由
国内初の開閉式屋根付きの天然芝球場で、MLBの球場をモデルにフィールドと座席が極限まで近づけるように造られている。新たなスタンダードとして注目されており、大リーグでも同距離が60フィート(18.47 メートル)に設定された球場はほとんどないのが現状。
試合は両チーム同じ条件でプレーするため、ルールに違反する事例ではないのか?
ホームベースとバックネットの距離が近いことによるプレーへの影響
- ワイルドピッチやパスボール等のクッション処理にかかる時間がスムーズになる。
- ファールエリアが狭くなるため、打者はアウトになりにくい
エスコンフィールド北海道への指摘内容について個人的に感じたこと
- 設計者、ハムの球団関係者が誰1人としてファウルゾーンの規則を知らなかった
- NPBのチェックを潜り抜けることができた
- 他球団の関係者が一番最初に気付いて指摘する
今の野球界のルールが個人的には気になってしまいます。
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