『村上と勝負』敬遠した方がマシ！は本当なのか、統計学的にわかりやすく解説

BASEBALL BUZZ運営者のくま(@Xアカウント)です。

Twitterのトレンドに

『村上と勝負』

という言葉が頻繁に上がるようになりました。

現在、全く手が付けられない村上選手。

ファンの中には

・全打席敬遠した方がマシ
・なんでで勝負したの？

といった意見もチラホラ

くま

今日は『敬遠した方がマシな成績』についてです

敬遠した方がマシと言われた男たち
敬遠した方がマシは本当なのか？
被害球団の意見
1. OPSで考える人
2. 長打率で考える人
まとめ
1. 【当然？】月間MVP獲得！
野球データについて

敬遠した方がマシと言われた男たち

この記事の中では『OPS』という言葉が出てきます。

↓OPSについて知りたい人はこちら

【OPSは欠陥指標なのか】OPSの目安とは？わかりやすく解説。

OPS（On-base Plus Slugging）は野球の総合能力を示す指標です。出塁率と長打率を組み合わせ、打者の安定した出塁力とパワーを評価します。OPSが高いほど打者の能力が高いことを示し、得点力の向上に寄与します。野球ファンにとって必見の指標ですが、実はメリットデメリットがあります。

村上宗隆(2022,8)　”村神”様

打率:440
安打:33(単打17,2塁打4,3塁打1,本塁打12)
出塁率:.588
長打率:.987
OPS:1.575

”村神”様と呼ばれています。
今回この投稿を作成するに至らせてくれたきっかけの選手。

バレンティン選手ともそん色のない成績をたたき出しています。

私の贔屓球団のドラゴンズも5打席連続HRを喰らいました…

バレンティン(2013,8)　”スーパーバレンティン”

打率:460
安打:35(単打16,2塁打6,3塁打0,本塁打18)
出塁率:.583
長打率:1.149
OPS:1.732

”スーパーバレンティン”と呼ばれています。

この年に年間60本塁打のプロ野球記録を樹立しました。

前田健太投手から打った”54号”のHRは

プロ野球史上最も理解不能なHR

として知られています。

くま

顔の横を通過しかけていたボールをホームラン…

筒香　嘉智(2016,7)　”ハイパー筒香”

打率:429
安打:36(単打13,2塁打6,3塁打1,本塁打16)
出塁率:.529
長打率:1.095
OPS:1.625

”ハイパー筒香”と呼ばれています。

バレンティンと比較するとやや見劣りする成績になっていますが、

日本人でもこんな成績を出せるのか….という記憶がまだ新しいです。

敬遠した方がマシは本当なのか？

考え方 “wOBA”で考えよう

wOBAはOPSよりも制度が高い打撃指標です。

wOBAの計算方法
wOBA　=｛0.692×（四球−故意四球）＋0.73×死球＋0.966×失策出塁＋0.865×単打＋1.334×二塁打＋1.725×三塁打＋2.065×本塁打｝÷（打数＋四球−故意四球＋死球＋犠飛）

全打席”敬遠”の場合のwOBAと比較

全打席敬遠した場合のwOBAは

0.692

です。

ちなみに…

5打席に4本単打を打つ選手：wOBA0.692
2打席に1本二塁打を打つ選手：wOBA0.667
3打席に1本HRを打つ選手：wOBA0.688
全打席敬遠された選手：wOBA0.692

この数字と彼らのwOBAを比較します。

村神様：0.64612
スーパーバレンティン：0.69276
ハイパー筒香：0.65167

バレ＞全打席敬遠君＞筒香＞村上

の順になりました。

バレンティン選手はすさまじい

5打席に4本単打を打つ選手：選手A
2打席に1本二塁打を打つ選手：選手B
3打席に1本HRを打つ選手：選手C
全打席敬遠される選手：選手D

とすると

バレ＞選手D＝選手A＞選手C＞選手B＞筒香＞村上

くま

当時のバレンティン選手はすさまじい

wOBAから見える結論

スーパーバレンティン>全打席敬遠の選手(8月の場合)

2013年8月のバレンティンとは勝負してはいけなかった。

2022年の村上選手に対して、全打席敬遠するのは愚策。

傑出度から見る”村上宗隆“

日本プロ野球ではボールやストライクゾーンの変更によって、高OPSの残しやすさはシーズン毎に変動します。

「平均出塁率.330、平均長打率.410の環境で記録するであろうOPS」がこちらに記載されています。

※2022年シーズン終了後に村上選手の成績を更新します

傑出度から見えてくる結論

極端に”打低”といわれた2011シーズンですら、補正値が0.13であることを考えると、

村上選手の補正OPSが1.3を上回ることはないでしょう。

傑出度的には、
村上選手と勝負するほうがいい

wRAAから見る”村上宗隆“

（こちらから）

wRAAとはリーグ平均レベルの打者が同じ打席数をこなした場合に比べ、その打者がチームの得点をどれだけ増やしたかを推定する指標

wRAAについて日本プロ野球史を遡る。
歴代最高の値を残したのは1973年の王貞治（巨人）だ。この年の王はwRAAで92.9を記録。村上が残りシーズン3分の1を現在のペースでキープできれば、wRAAは87.4点。さすがに王の歴代最高には及ばない。

wRAAから見えてくる結論

王貞治さえも、全打席敬遠されることはなかったことを考えれば、

村上選手と勝負するほうがいい。

被害球団の意見

OPSで考える人

@1Hhsj6334

opsは出塁率と長打率の和で、高いほど良いが、1.000を超えると超一流、1.100を超えると手が付けられないレベルであり、1.200を超えると勝負するのが馬鹿らしいという水準になる訳。今年の村上はこの水準をクリアしそうだ。

長打率で考える人

@Akamiso97

全打席敬遠が正解かどうか100%正しいか確証するものはなかったけど、村上宗隆の場合は今月長打率が1.030(67打数69塁打)で、1打数平均で1塁打以上稼いでるんだよなよって理論上一塁が埋まるだけの全打席四球が最適解になる、もう彼は次元が違うと考えるしかないね

まとめ

『村上と勝負せずに、敬遠しする』は、

月別で考えてみてｍ非効率的

一方で、

バレンティン選手とは勝負しない方がよかった

60号を超えたバレンティンの8月と全打席敬遠される選手の得点期待値はほとんど同じ
これは覚えておくと面白い。

野球ブログで稼ぐ人

元バンテリンドームスタッフ
統計学/セイバーメトリクス専攻
野球ファン歴15年以上
最高月間30万PV　(上位0.1%)

【当然？】月間MVP獲得！

当然ですが2022年8月の月間MVPは村上選手。

くま

選考会も楽だったでしょう

野球データについて

ノーヒットノーランが年間5回も起きる確率

ポアソン分布でノーヒットノーランが年間5回も起きる確率を検証する

ノーヒットノーランは2リーグ制になった1950年から2022年シーズン終了時までで72人が合計76回達成。73年間で76回の達成なので約1年間に1回ペースで達成されています。一方で2022年シーズンは、現時点(2022年9月12日) ですでに5名がノーヒットノーランを達成。今日はそんな異常事態をポアソン分須で検証します。

敬遠した方がマシは本当か？

『村上と勝負』敬遠した方がマシ！は本当なのか、統計学的にわかりやすく解説

Twitterのトレンドに『村上と勝負』という言葉が頻繁に上がるようになりました。『村上様』『スーパーバレンティン』『ハイパー筒香』をそれぞれ比較します。敬遠した方がマシは本当なのか？について統計学的・論理的に評価します。

チャンスに強いバッターは存在するのか？

【野球オカルト】チャンスに強いバッター？得点圏打率は信用できるのか？

野球オカルトの一つに「得点圏打率」があります。今日はチャンスに強いバッターについてまとめました。「得点圏打率・WPA・Clutch」等の打撃指標についても解説。何が悪くて内が悪いのかのメリットが全部わかります。

OPSについて勘違いしないでほしいこと

【OPSは欠陥指標なのか】OPSの目安とは？わかりやすく解説。

なぜ送りバントが消えないのか？

なぜ送りバントが消えないのか？統計学の視点から考察する

野球界での送りバントの使用がなぜ減らないのかについて、統計学の視点から考察します。効果的な打撃戦略や得点効率性を分析し、なぜ一部のチームが依然として送りバントを選択するのかを解説します。また、最新のデータと成功率の変遷についても触れ、送りバントの有効性と今後の可能性について考えます。野球ファンや戦術に興味のある人にとって興味深い記事です。